〔現状〕
図書館は,司書が子どもの求める本を適切に提供することによって,日々子どもの読書活動を支援する施設です。子どもの行動範囲はあまり広くないため,子どもが気軽に図書館を利用するには,歩いて行くことが出来る場所に図書館施設が必要です。
現在,旭川市図書館は中央図書館と3つの地区図書館,10分室,自動車文庫2台,2か所の地域図書コーナーによる図書館システムが形成されていますが,市民ニーズに対応するには更なる整備が必要です。
図書資料購入費については,財政状況が厳しい中にあっても子どもに魅力ある本を提供することが求められており,今後ともその整備・充実に努めます。
図書館における児童サービスとしては,絵本の読み聞かせなどを行う「おたのしみ会」,夏・冬休みの「映画会」,新しく購入した図書のリストや利用案内を盛り込んだお便りの配布など,子どもたちが図書館や読書に興味・関心を持ってもらえるよう取組みを進めてきました。保護者に対しては,保健所の乳幼児健康相談等の会場での利用案内や絵本リストの配布,公民館で読み聞かせ講座を行うなど,0歳からの読書の大切さを理解してもらえるよう働きかけています。
総合的な学習の時間の導入により,児童・生徒が図書館を利用する機会が増えていることから,情報を提供する図書資料の充実や,求める図書資料を的確に手渡すことができ,また子どもの読書活動を専門的に永続的に展開するためには職員の養成等が必要と考えます。
〔充実に向けての取り組み〕
- 子どもが身近に図書館を利用できる環境作り
- 子どもが徒歩で利用できる圏内に図書館施設の整備を進めます。
- 団体貸出制度の利用を拡充し,地域における読書環境の整備を支援します。
- 祝日開館の拡大を進めるなど利便性を高めるよう努めます。
- 図書資料の充実
- 調べ学習・総合的な学習の時間に対応できる図書資料や郷土資料の充実に努めます。
- 読書離れが著しい中高校生を対象としたヤングアダルト図書の充実に努めます。
- 0歳から楽しめる絵本の充実に努めます。
- 子どもの興味・関心や知りたい欲求に応えられる充分な図書資料を購入できる資料費の確保に努めます。
- 児童サービスの充実
- 絵本の読み聞かせ,ブックトーク,ストーリーテリング等子どもと本を結ぶ行事を開催します。
- 中高生を対象に,読書の喜びに触れる機会を提供します。
- 子どもの読書週間に,読書推進行事を開催します。
- ホームページに子ども向けのコーナーを開設し,行事案内や図書資料の紹介等を行います。
- 団体貸出の利用者登録の推進に努めます。
- 子ども文庫への協力・支援に努めます。
- 自動車文庫のステーションの整備,滞在時間の延長やステーションでの読み聞かせ会の実施に努めます。
- 児童サービス専任の司書による読書相談やレファレンス体制を確立します。
- 専門的知識を有する職員の養成等に努めます。
- 障がいのある子どもへのサービス
- 特殊学級や院内学級での読み聞かせや,児童図書の団体貸出を行います。
- 盲学校,聾学校,養護学校,施設への出張読み聞かせや,団体貸出を行います。
- ボランティアグループや点字図書館など専門機関との一層の連携を進めます。
- さわる絵本や点字絵本,録音図書の充実に努めます。
- 障がいのある子どもが利用しやすい機器の整備に努めます。
- 障がいのある子どもの保護者に,読書の楽しさを紹介する機会を設けます。
- 布の絵本や録音図書,点訳図書を作成するボランティアの養成やボランティアとの一層の協力・連携に努めます。
- 障がいのある子どもが利用しやすい読書環境の整備に努めます。
〔現状〕
子どもの読書習慣を形成する上で,家庭の役割は重要です。家庭環境や保護者の意識によっても結果は大きく左右されます。今日,ライフスタイルの多様化,コンピュータゲームやさまざまな情報メディアの浸透,塾や習い事の増加など,子どもの生活環境が著しく変化するなかで,親子で本を読む機会が減り,子どもの読書離れが顕著になっています。子どもたちがより読書に親しむことができるように,家庭や地域に向けての啓発活動や具体的な環境整備を進めていく必要があります。
〔充実に向けての取り組み〕
- 家庭における取り組み
家庭での読み聞かせや,親子で読書を楽しむ環境づくり
- 母親にかぎらず父親や祖父母らも対象に,さまざまな機会をとらえて子どもの読書の大切さを伝え,読み聞かせを通じて子どもを本に親しませるよう働きかけます。
- 大人が共に読書を楽しむ姿勢を見せることは,子どもが読書習慣を身につけるうえで効果的です。親子での読書を勧めるなど,読書環境についての啓発活動を行います。
地域の活動への参加
- 子どもがさまざまな本を手にとることができるように,図書館や図書館分室,児童館・児童センターの図書室などの利用を促します。また,読み聞かせの会などに積極的に参加するよう呼びかけます。
- 保護者らを対象に,子どもの本についての知識を深めるための講演会や読み聞かせ講座などに積極的に参加するよう呼びかけます。
子どもの本についての情報の提供
- 家庭で子どもの本を選ぶうえで参考になるように,ブックリストや,成長段階に応じた読書の情報などを収集し,提供します。
- 図書館などのホームページや広報誌,パンフレット等を通じて,読書や読書関連事業に関する情報を提供します。
- 地域における取り組み
各施設の読書環境の整備
- 保健所・児童館・児童センター・地域子育て支援センター等の図書コーナーの蔵書を図書館の団体貸出制度の利用等によって充実させ,子どもや親が読書に親しめる環境となるように整備します。
各施設における読書活動推進事業等
- 乳幼児とその親が集う施設において,図書館をはじめ各機関が絵本の読み聞かせや絵本の紹介を行います。また,子育て関連の講座においても,読書活動の推進に努めます。
- 妊婦や各年齢層の子どもの保護者を対象に,読み聞かせ講座を行います。また,子どもの読書活動を支える大人の読書に対する意識を高めます。
- お年寄りと幼児,小学生,中高生,また,幼児と小学生,中高生の間でおはなしや読み聞かせ等の読書活動を通して交流するというような,世代間の交流事業に取り組みます。
- 各住民センター・児童館・児童センターなどの施設において,障がいのある子どもたちも参加できる催しを行うなかで,読書活動の推進に努めます。
読書の啓発活動
- 公民館・保健所・児童館・児童センター・地域子育て支援センター等において,チラシやパンフレット・広報誌を活用した読書活動の推進に努めます。
[現状]
幼稚園や保育園では、園児に絵本の楽しさを知ってもらい、絵本に興味を持ってもらうために、成長段階にあった絵本や紙芝居の読み聞かせを行っています。また,図書館の団体貸出制度を利用している園もありますが,図書資料のより一層の充実が求められています。
[充実に向けての取り組み]
- 幼稚園・保育園の図書コーナーの充実
- 施設環境に合わせた図書スペースを設け、子どもの成長段階にあった絵本・紙芝居等の充実を図ります。
- 園教諭・保育士の研修会等の参加
- 各種の読み聞かせ研修会や講演会に積極的に参加し、幼稚園教諭や保育士のスキルアップに努めます。
- 保護者への啓発
- 子ども達に絵本の楽しさを知ってもらうためには、家庭での働きかけが必要であることから、保護者を対象に読み聞かせ講座を開催します。
- 図書を紹介したおたよりを作成し、保護者に配布します。
- ホームページを作成し、図書の紹介や読み聞かせの必要性を啓発します。
- 園児への読み聞かせの充実
- 子どもの成長段階にあった絵本や紙芝居の読み聞かせを行い、図書紹介も行います。
〔現状〕
学校における読書活動は,児童生徒の知的活動を増進するとともに,人間形成や情操を養う上で重要であり,各教科,特別活動,総合的な学習の時間等を通して,多様に展開しています。具体的には,国語科において,学年の発達段階に応じて読書に親しむ態度を育てるとともに,学校図書館の利活用を通して,望ましい読書習慣の形成に努めております。また,総合的な学習の時間では,外国の文化や福祉の状況など様々な対象について
調べる学習を通して,必要に応じて学校図書館を活用しています。学校における読書活動に不可欠な学校図書館は,児童生徒の豊かな感性や情操を育む読書センターとしての機能を発揮するとともに,主体的,意欲的な学習活動を支援する学習・情報センターとしての機能を果たす場であります。
旭川市の小・中学校における学校図書館図書の整備状況は,文部科学省が示す図書標準に対する達成率(平成16年度末)が,小学校は約94.8%,中学校は約91.9%で,小・中あわせて約93.6%となっており,各学校においては計画的に図書の購入を行い,蔵書の充実を図っているところです。各学校においては,読書活動の充実のため,様々に工夫された取組が進められていますが,さらに,障がいのある子どもを含めた児童生徒全員が読書に親しむための快適な環境を整備していくことや,保護者懇談会等で読書活動の意義について話題にするなど,家庭や地域との連携を図っていくことが大切です。
〔充実に向けての取り組み〕
- 読書活動の環境整備・充実(小・中)
- 学校図書館の図書資料の計画的な整備を図るとともに,児童生徒の多様な興味・関心に応える魅力ある図書資料の充実に努めます。
- 学校図書館における蔵書の効果的な活用を図るため,蔵書情報のデータベース化や学校間の共同利用など,コンピュータを活用した学校図書館の情報化を推進します。
- 障がいのある児童生徒の読書活動を支援するため,図書資料の選定や読書指導等の工夫を図ります。
- 学校内における児童生徒の読書活動を推進するため,学校図書館の施設や設備の整備など,読書に適した環境づくりに努めます。
- 学校図書館の機能を十分に発揮し,児童生徒の読書活動のニーズに応えるため,専任の司書教諭,またボランティアを含めた学校図書館支援員等の配置に努めます。
- 児童生徒の自主的な読書活動を推進するうえで中心的な役割を果たす司書教諭をはじめ,学校関係者の意識の高揚とスキルアップを図るため,読書指導や学校図書館の運営などに関する研修の充実に努めます。
- 司書教諭がその役割を十分果たせるよう,教職員の協力体制の充実に努めます。
- 児童生徒の読書習慣の確立(小・中)
- 各教科,特別活動,総合的な学習の時間等における調べ学習や各学校の状況に応じた読書活動などを展開していくために,学校図書館の積極的な活用を進めます。
- 各学校の学校図書館運営については,全教職員の共通理解のもと,図書資料の購入や児童生徒の利活用にかかわる年間計画作成に努めます。
- 「朝の読書」や「読み聞かせ」など,児童生徒の読書意欲を高める取組を一層充実させるよう働きかけます。
- 各学校における校内研修や研究会等を通じて,教職員の指導力の向上,学校図書館を活用した読書指導の充実に努めます。・家庭・地域との連携を図りながら,児童生徒が日常生活における自主的な読書習慣を確立するよう促します。
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